この国のカタチを決めるTPP~議論は正しい情報から~

ここ数年で日本は大きく変わりそうです。報道を見ると、TPPと道州制のメリット・デメリットの国民的議論を始めるのではなく、推進する方向で議論が進んでいるように思うのは私だけでしょうか。国民的議論がないので、どういう社会になるのかが予想しにくく不安なのです。

まず、TPP。正式名は、Trans-Pacific Partnership(別名Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)で、日本語表記にすると「環太平洋戦略的経済連携協定」となります。TPPは、自由化レベルが高い包括的な協定で、物やサービスの貿易自由化、政府調達、貿易円滑化、競争政策など幅広い分野が対象となり、関税は10年以内にほぼ100%撤廃が原則とされています。しかし、内容がよく分かりません。TPPの問題は、主張・意見・反論・異論などがあり、効果の試算もまちまちですが、インターネットやマスコミなどの情報をまとめてみると凡そ次のようになります。

TPPのメリット:●関税の撤廃で貿易の自由化が進み、日本製品の輸出額が増大。●整備・貿易障壁の撤廃で製造業企業の利益が増える。●グローバル化の加速により、GDPが10年間で2.7兆円増加するとの見積もり。

TPPのデメリット:●海外の安価な商品が流入し、デフレになる可能性。●関税撤廃で海外から安い農作物が流入し、日本の農業が大きくダメージを受ける。●食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和で、食の安全が脅かされる。●医療保険の自由化・混合診療の解禁で、国保制度の圧迫や医療格差が広がる。

TPPの問題点:

①ISDS条項により海外起業を保護するために内国民待遇が適用され、これにより例えば、当該企業・投資家が損失・不利益を被った場合、国内法を無視して世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴することが可能となる。その結果、日本政府や自治体は法外な賠償金を請求されるか、不都合な法律改正を迫られる可能性がある。

②ラチェット規定により、一度自由化・規制緩和された条件は、当該国の不都合・不利益に関わらず取り消すことができない。

③TPP離脱はいつでも可能とされるが、海外企業からの莫大な損害賠償の請求が予想され、TPP離脱は極めて困難である。

TPPは、農業問題がクローズアップされていますが、24分野もあり、国のカタチが変わるほどの大きな問題です。情報を開示して、しっかりとした国民の議論が必要でしょう。