湖沼のハートウェア(心・文化・記憶)を未来の知恵に~湖沼流域管理の国際シンポジウム~

滋賀大学環境総合研究センター主催、ILEC共催による国際シンポジウムがコラボ21で開かれました。テーマは、「世界と琵琶湖ハートウェア(心・文化・記憶)」です。湖沼流域管理についての議論は、人の関わりと利活用や生態、水質等の中で、主に科学的、技術的に語られてきたと思います。今回、これにハートウェアという新しい概念で捉えようという試みが加味され、湖沼流域管理の館上げが広がっていくのはないかと期待するところです。

午前は、各国の水管理について報告がありました。興味を持ったのは、ハートウェアの視点から、宗教の考え方によって水についての考えや利用が違うのではないかというというものでした。また、過去のような美しい湖を取り戻そうという試みをされている国の報告もあり、琵琶湖への取り組みの参考になると思いました。

午後は、知事の講演「琵琶湖の経験:近い水と遠い水と統合的湖沼流域管理(ILBM)」とパネル討論、アジアと琵琶湖が語り合う「湖沼流域管理におけるハートウェア・アプローチ」がありました。事例の報告では、県議会で私の一般質問でも紹介させていただきました、「矢倉のふるさと絵図」の報告です。山本悦子さんが報告された矢倉絵図の実践は、記憶の記録とされる取り組みであり、まさに心・文化・記憶のハートウェアなのです。

言葉からもややもすると機械的と捉えがちな流域管理を、ハートウェアから紐解くことで、未来への知恵になるかもしれません。それは、流域管理により多くの方が参画しやすくなるだけでなく、広域管理から地元管理の自治管理へと発展するからです。今回のシンポジウムが、琵琶湖を内の眼や外の眼から捉え直すきっかけとなり、ハートウェアの視点が広がることが楽しみです。